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2024.08.24 店舗ニュース

雑誌『美しいキモノ・2024年秋号』に掲載されました!

   皆様、いつもありがとうございます。朝晩には少しだけ秋の気配を感じられるようになりましたが、皆様には、お変わりなくお過ごしのことと拝察いたします。


雑誌『美しいキモノ・2024年秋号』に掲載されました!

 さて、8月20日発売になりました『美しいキモノ』の34ページに、当店の江戸小紋が掲載されておりますので、是非、ご覧いただければと、ご案内申し上げます。
 今回取り上げていただいた江戸小紋は、都内の田島染芸さんの作品で「フランス縞」です。遠目には色無地のキモノに見えるかも知れませんが、上品な水色の江戸小紋です。それに秋らしく大胆に銀杏を配した最上さんの染め帯を合わせました。田島染芸さんは問屋さんを通して存じ上げているのですが、昔から真摯な物作りの姿勢が感じられ、私の好きな染屋さんの一つです。こちらさんの作品は安心して取扱い出来ます。
 また、今回の掲載から、「美しいキモノ」に毎号掲載させていただき、5年目に入りました。掲載には、負担がない訳ではありませんが、しかし、今の時代は、日々にキモノが縁遠くなっているように感じます。そんな中で、一人でも多くの方がキモノの良さを感じて欲しくて、そして、一回でも多くキモノを着て欲しくて掲載に協力しております。なので、出来るだけ本物を取り上げるようにしております。そのことで各産地や真剣に「ものつくり」に取り組む職人さん達の側面援助が出来たらと、思っております。

「フランス縞」

 伝統工芸の江戸小紋は、江戸時代の武士の裃(かみしも)にルーツがありますから、古くから伝わる伝統的な柄が普通ですが、今回のフランス縞はその名の通り、比較的に新しい柄です。と、言いますのも、この柄は、江戸小紋の型紙の人間国宝だった 故 児玉 博 さんが作られたものです。私の勝手な想像ですが、フランス縞のネーミングからすると、ゴブラン織りか何かから着想を得て彫られたのかなと想像しております。
 似たようなイメージの柄で日本古来の柄では「よろけ縞」がありますが、それとは異なり、躍動感に富んだ遊び心も感じられる柄ですね。ですが、だからこそ、この柄を渋紙に掘り起こすむずかしさも同時に感じてしまいます。

「伝統工芸の江戸小紋」

 伝統工芸の江戸小紋は、型紙とそれを生地に染め付ける染め師さんが必須です。
 型紙は、和紙を3枚くらい重ねて柿渋を塗り丈夫にしたものですが、それを小刀で切り刻んで型紙を作ります。そのサイズは生地幅×長さ20センチ~30センチ位が普通です。そして、型の上下が寸分違わず合わなければ、連続した綺麗な染めが出来ません。ですから、12m以上の反物をこの小さな型紙で、境目が分からないように綺麗に連続して染め上げるのは、至難の業です。因みに、伝統工芸の江戸小紋では、型紙作りでも染め師さんでも、それぞれでいわゆる人間国宝が居られたりします。さて、今回のこの作品は、そこが物の見事にどこが境目なのかが分かりません。これが伝統工芸の江戸小紋の凄いところです。即ち、正確な型紙があり、それを綺麗に染める染め師さんがいて初めて作品になります。ですので、そんな視点でこちらを眺めてもらっても、とても楽しいと思います。使っている生地は、私の大好きな長浜ちりめんです。そして、その730グラムを使っておりますので、その着心地は大変に素晴らしいです。
 今回は以上ですが、お店にお寄りいただければ、いつでもご覧いただけますことも申し添えさせて戴きますので、皆様、よろしくお願いいたします。
     
    橋本絞店 店主 橋本 徹